いびきについて

 

「いびき」は睡眠中の呼吸が狭くなった上気道を通過する時におきます。

舌や軟口蓋が垂れ下がることにより、狭められた上気道を空気が通過する時に振動を発生させ、いびきとなります。

加齢による筋力の低下による舌根沈下、肥満による舌や喉、首周りの肥大による気道の狭小が原因と考えられます。

特に私たち日本人にとっては、先天的に下顎の骨格が小さいことに加え、食生活の欧米化により下顎が十分に形成できず、就寝時に舌が圧迫されることで気道を狭める傾向があります。

このことから、私たち日本人はいびきをかきやすい人種といっても過言ではないでしょう。

 

 

 

睡眠時無呼吸症候群について

 

寝入りの時などにかく軽いいびきは、あまり気にすることはありませんが、終夜通して大きないびきをかく場合は注意が必要です。

いびきは気道が狭められている状態で呼吸をしている状態ですので、睡眠中の呼吸が浅くなっている「低呼吸」の可能性があります。

さらに、大きないびきの間に呼吸が止まっている「無呼吸」が頻回にある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は「低呼吸」と「無呼吸」により、呼吸による酸素を得ることができず、脳が覚醒状態を保ってしまいます。

これにより、睡眠による十分な休息が得られず、寝起きの頭痛や日中の倦怠感や、居眠りなどを引き起こし、様々な事故の原因、作業効率の低下など日常生活に様々な影響を与えます。

 

さらに睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病とも関連があり、高血圧、脳卒中、脳梗塞や心臓病を引き起こす原因としても注目されています。

また、日頃から十分な睡眠を得られていない状態が続きますので、うつ病を併発する可能性もあります。

睡眠時無呼吸症候群は体内の循環を阻害しますので、治療せずに放置した場合はこれらの症状は悪化していくだけではなく、最悪の場合、死に至る可能性があります。

 

 

治療について(マウスピースの治療効果)

 

睡眠時無呼吸症候群の治療はいくつかの方法があります。

ここではマウスピースでの治療(スリープスプリント)についてご紹介いたします。

スリープスプリントは口に装着する事で下顎を前進させ、舌の沈下を防ぐことで睡眠中の気道を確保し正常な呼吸を保つことができます。

またマウスピース装着は口での呼吸を抑制しますので、睡眠時無呼吸症候群の軽症の方のほか、中症〜重症の方も他の治療方法と併用した場合の治療効果が期待できます。

スリープスプリントはひとりひとり異なる顎の形状と歯並びに合わせた形成と、治療効果のある適正な下顎を前進させる大きさの形成が重要ですので、睡眠歯科医での作成が必要になります。

 

 

その他の治療法の紹介

 

睡眠時無呼吸症候群の治療は、睡眠中にマスクを介して機械から送られる空気で気道を確保する、CPAP療法が広く普及しています。

CPAP療法ではマウスピースを併用することで、口呼吸を抑制することで治療効果を高めるとともに、CPAPから送られる空気圧を下げることに貢献します(マウスピースの適用については主治医にご相談ください)。

そのほか、扁桃腺やアデノイド肥大による気道の狭小については耳鼻科的な外科手術もあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療には検査が必要となりますので、睡眠専門医療機関にて検査を受けられた上で、主治医とご相談の上で患者様にあった治療を行うことになります。

 

検査については次の「検査と治療について」ページをご覧下さい。

睡眠専門検査機関については「睡眠歯科医・検査機関のご案内」ページにて最寄りの検査機関、もしくは睡眠歯科医にご相談ください。